【世相診断】東芝問題を考える‐他社の失敗を学ぶ

証券取引等監視委員会は東芝に対して、73 億円の課徴金を課すように勧告しました。東芝自身も5 人の元経営者に対し3 億円の賠償を請求、また50 人の個人株主が一連の不祥事により株価下落を招いたとして同じく5人の元経営者に対し3億円の賠償請求を提起しました。今後さらに東芝や旧経営陣に対して責任追及が強まることが予想されます。
東芝で起きたことは、実は平成19 年12 月に発覚したIHI 粉飾決算と全く同種同質です。IHI は過去2年間の決算において営業利益ベースで計800 億円を超える修正を余儀なくされ、有価証券報告書の虚偽報告として証券取引等監視委員会の勧告に基づき約16 億円の課徴金が課せられました。第三者委員会報告書によれば、粉飾に至った原因は、「事業本部が本社にコミットした利益目標を達成することが、マネジメントの最優先事項であった。発生原価見通しの算定は、本来会計的には慎重に取り扱うべきものであるが、事業本部の算定に慎重さを欠き、楽観的解釈にもとづく事業本部の行き過ぎた指導があった。」となっていました。まったく今東芝が問われている事象がそのまま出ていたのです。もし東芝がIHI の失敗を教訓としてリスク管理やコーポレートガバナンスに活かしていれば、今回のような不祥事は起きなかったでしょう。(2015.12 井上泉)